溢れ出る加齢臭

カレー臭に加え加齢臭が溢れ出る年齢になりました。

GREEが捨てたもの

 GREETwitter風にマイクロブログSNSとしてリニューアルするらしい。
 GREEの田中社長はこう言っている。

「われわれは、5年後、10年後に求められるサービスを想像しながら作っている。5年前は『2010年はモバイルが来る』と考えモバイル版を強化したが、次の5年は、リアルタイムに今を発信し、返信するというリアルタイムコミュニケーションに向かう」

PC版「GREE」がTwitter風にリニューアル「日記+足あとはもう古い」と田中社長 - ITmedia News

 果たして本当にそうだろうかと思う。
 僕はmixitwitterの両方をやっている。この両者の使い方は僕に関しては大きな違いがある。
 mixiはリアルのつきあいが中心である。ライフワークというほどでもないが、ここ数年関わっている南インド料理食事会とそのプロモーション活動を通じて知り合いになったエスニック料理好きの人たちなど、要するに名古屋のメシ友達、飲み友達との関係である。彼らはパソコンやネットに詳しいわけではなく、インターネットのヘビーユーザーというわけでもない。また全体的に年齢層が高めで携帯にどっぷりはまった世代でもなく、携帯のメールよりもPCのメールの方が先立った世代だろう。ポケベル世代もいる。したがってリアルタイムコミュニケーションを欲していない。そもそも昼間の仕事は時間の融通が効かないのであろうか、リアルタイムコミュニケーションができるはずもない。普通の公務員の人や会社員の人、お店をやっている人など、職種も様々である。しかしおそらくIT系の職業の人はいない。
 一方、twitterの方はというと、ほぼネット上のつきあいである。オフ会などでリアルで飲む機会はたまにあるが、基本的にはネット上のつきあい。タイムラインを見ていると、IT系の職業の人たちや学生さんが圧倒的に多そうだ。昼間からtwitterをしているということは比較的時間に融通が効くのであろう。また、タイムラインを見ていると、mixiをそう活用しているわけでもなさそうだ。
 僕のマイミクさんや、followしている人たちなど全ユーザー数からみればほんのごく一部であり、これで全体を論じることはできないけど、僕の見ている世界ではそうなっている。
 さて、GREEmixiの日記やコミュニティといった非リアルタイムコミュニケーションは脇に追いやって、twitterのようなマイクロブログを通じたリアルタイムコミュニケーションに特化しようとしている。これは、ネットのライトユーザー層を捨てると言っていることと同じではないだろうか。だって、

「いままでのPC版サイトは、なかったことになりました」

と言っているぐらいだから(via GREE、Twitter対抗サービスに--PC版を140字の「ひとこと」SNSにリニューアル:ニュース- CNET Japan
 また、GREEの田中社長はこう言っている。

リアルタイムコミュニケーションに注力する背景には、「今後、より多くの人が、より長時間ネットを使うようになる」ことがある。「みんなで同時にネットを使うタイミングが増え、同時に使って面白い機能が求められる」

 より長時間ネットを使うようになるかどうかは、個人の趣味の問題であり、メインストリームになるかどうかはわからない。普段、普通に仕事をしている人は自由時間は少ないわけで、その限られた時間を携帯でネットしたり、ゲームをしたり、飲みに行ったりしている。そして、長時間ネットにいる人は、ネトゲーやっているか、twitterをやっているか、何かしらもう既にやっているだろう。
 ライトユーザー層は必ずヘビーユーザーになるわけではなく、むしろライトユーザーのままでいる方が多いのではないだろうか。そういう点で、GREEはライトユーザーを捨て、mixiがそれを抱え込むという構図になるのだろうかと思った。
 このエントリのタイトルは当初、GREEの敗北宣言にするつもりだった。ライトユーザー層はmixiに負けたという意味である。しかし、ハタと気づいたのは、勝ち負けとは何であろうかということである。
 そもそも企業の活動なわけだから、勝ち負けはユーザー数ではなく営業利益で判断するべきだろうという観点に立てば、GREEmixiよりも遥かに勝ち組である(グリー躍進、本当の理由(前編):日経ビジネスオンライン参照)。auとのタイアップ、積極的なCM展開で携帯ユーザーを増やし、ゲームやらアバターやらでユーザーがお金を落としていくのである。
 逆に、僕のようなユーザーはSNSではお金を落とさない。mixiでは有料オプションは使っていないし、そもそも最近はコミュニティも自分の関わるコミュニティのイベント参加や情報収集のために使っているだけで、雑談などしない。mixiをやり始めて4年以上も経てば情報もかなりの程度、一巡してしまう。最近はmixiも携帯ユーザーが増えたせいか、絵文字やら半角カナが跋扈していて見苦しくなった。僕のマイミクさんはみんな同じような感じなのではないだろうか。ソーシャルゲームが始まっており、いくつかのゲームに参加しているが、だからといって有料アイテムを買ってまで人と競おうという気にもならない。
 そう考えると、GREEは、ぶっちゃけ金を遣わない僕みたいなユーザー層(といっても僕はGREEユーザーではないけど)を切ってしまって、ヘビーに使ってくれて、しかもお金を落としてくれるユーザー、それはお金持ちというよりは、ネットに関して金銭感覚がルーズな人たちだと思うが、そういう人たちしか相手にしませんよと宣言したということなんだろう。企業活動としてそれは支持されるから株価は上がるだろうか。これでGREEのPC版のユーザーが増えるとは思えず、むしろ芸能人の力をフルに生かして、頭の中身がライトユーザーな人を動員できそうなサイバーエージェントのミニブログ「Amebaなう」の方が成功しそうな気がする。Amebaなうが動き始める12月よりも先にGREEが11月にリニューアルするのでこの時間差でどれぐらいユーザーを集めるかが勝負ですかね。