石けんに重曹を混ぜると洗浄力が落ちる?
最近、ubuntu日記となっていたのだが、今日は全然違う話。
mixiの某コミュでの議論で自分の理解が及ばぬ話が出てきたのでメモをしておく。
ある人(Aさん)の発言
アルカリ・酸を示すpH(ペーハー)でいうと、石けんは9.5〜10.5、
重曹は8.5と重曹の方がpHが低く(つまり石けんより酸性でアルカリ度が弱い)
石けんのpHを下げてアルカリ度を低くするため、洗浄力が落ちてしまいます。
最初、僕はこれを見たとき、目を疑った。
「アルカリとアルカリを混ぜるとpH値が下がるの?」
そこで素直に疑問を投げかけたのだが、Aさんではわからないとのことで、
その情報元の別のコミュを紹介されたので、そこで具体的に尋ねてみた。
石けんと重曹やセスキを混ぜるとなぜ石けんのpHが下がるのでしょうか?
この時点で、現象としてはpH値は下がるらしいということは理解していた。
で、情報主であるBさんの返答が、
石けんに重曹を混ぜると石けんのpHが下がるのは、重曹のほうが石けんよりpHが低いから(セスキも同様。セスキのほうがpHが低いから)なんですが、その説明でOKですか?
例えて言うと、100度のお湯に50度のお湯を100cc足すと150度になるわけではなく、75度になりますよね。
それと同じだと思ってください。
pHの変化と熱エネルギーの話のどの辺が同じなのかは僕にはさっぱりわかりない。中間になるという「結果」だけならわかるし、それならばお湯の例えは要らない。
pHの高いものにpHの低いものを混ぜると、その中間あたりで落ち着く、というのは現実にはっきり起こっているし、工業的にも行われていることです。
緩衝作用とは関係なく、pHも高いところから低いところに流れるというのだろうか。そうならば、苛性ソーダと炭酸ソーダを混ぜるとpHはその中間ぐらいに落ち着きそうだ。僕の理解では緩衝作用は弱アルカリや弱酸にしかないので、炭酸ソーダ(pH11)には緩衝作用がないという理解なのだが。電離平衡も働かないから、pHは下がらないと思っているのだが。ちょっと勉強が必要だ。
さて、もう一つ、最初のAさんの気になる発言を再掲しよう。
石けんのpHを下げてアルカリ度を低くするため、洗浄力が落ちてしまいます。
要するに、石けんの助剤として重曹やセスキ炭酸ソーダを使うのは無意味ですよと言っているのだ。これもその発言元はBさんであり、Bさん自身も、
石けんに重曹を混ぜてpHを下げることによって洗浄力を落とし(マイルドにし)
と書かれている。
Bさんの見解では、pHが下がると洗浄力が落ちるらしい。
そうなのだろうか。
水中のカルシウムイオンやナトリウムイオンが石けんの一部と化合することで、石けんカスができる。これは石けんを役たたずにしてしまう上、下水処理場でも分解できないらしいので石けんの環境への悪影響に挙げられているものだ。重曹を混ぜておくことで、石けんが電離せずに残る部分が生じる。そして、カルシウムイオンやナトリウムイオンが石けんや重曹の一部と反応することで、カスを生成した後、重曹の緩衝作用によって石鹸の電離が進む(pHを上げようとする作用)。したがって、石けんのみの場合よりも重曹を混ぜた方が石けんカスの生成を減らせるので洗浄力を上げられるのではないだろうか?もちろん、先に重曹を溶かした水に石けんを入れた方がいいのは石けんカスの生成を減らす観点ではベストだろう。重曹のキレート作用により水が軟水化するための時間をとってから石けんを入れられればベストなのだろう。*1
というのは、僕の妄言なのです。でも、Google先生に尋ねてみると、石けんと重曹を混ぜる洗浄力は上がると主張しているサイトは出てきます。
太陽油脂株式会社 レポート「ドラム式洗濯機における石けん使用方法と洗浄力についての実験[1]」*2
手作り石けんと軟水の出会い
Luca's:・手作り石鹸
「重曹+せっけん」洗濯は無駄使いか
さて、本当のところはどうなのでしょうか?