溢れ出る加齢臭

カレー臭に加え加齢臭が溢れ出る年齢になりました。

まちづくり3法改正に関する個人的なメモ

今回の改正の狙い

 国土交通省のプレスリリースからの引用

 近年、モータリゼーションの進展等を背景として、都市の無秩序な拡散が加速化し、高齢者等が病院などの公共公益施設に歩いて行くことができなくなるといった問題や、中心市街地の社会資本が有効利用されない一方で郊外では新規の公共投資が必要になるといった公共投資の非効率性、環境負荷の増大などの問題が生じている。
 今後人口減少・超高齢社会が到来する中で、これらの問題について地域の主体的な判断により的確に対応するため、都市構造に広域的に大きな影響を与える大規模集客施設(法律では「特定大規模建築物」と定義)や公共公益施設について、その立地に際し都市計画の手続を経ることを通じて、地域の判断を反映させた適切な立地を確保する必要がある。

今回の改正の主な内容

http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/04/040206_2/01.pdf
の通り。以下引用。

1.都市計画法建築基準法の一部改正
人口減少・超高齢社会にふさわしいまちづくりを実現するため、以下の措置を講じる。特に、広域にわたり都市構造に大きな影響を与える大規模集客施設(法律では「特定大規模建築物」と定義)の立地に当たっては都市計画手続を経ることとし、地域の判断を反映した適切な立地を確保する。
(1) 市街化区域、用途地域における立地規制
大規模集客施設が立地可能な用途地域を見直し、現行の6から3へ限定。
(2) 非線引き白地地域等における立地規制
非線引き都市計画区域準都市計画区域内の白地地域では大規模集客施設は原則立地不可。
(3) 用途を緩和する地区計画制度の創設
上記(1)(2)により規制強化される用途地域及び非線引き都市計画区域内の白地地域においては、大規模集客施設の立地も認めうる新たな地区計画制度(開発整備促進区)を創設。
(4) 準都市計画区域制度の拡充
農地を含む土地利用の整序が必要な区域等に広く指定できるよう、準都市計画区域の要件を緩和するとともに、指定権者を都道府県に変更。
(5) 都市計画手続等の円滑化、広域調整手続の充実
一定の開発事業者が都市計画提案を行えるよう、都市計画提案権者の範囲を拡大。また、広域調整の強化のため、都道府県知事が市町村の都市計画決定等に対する協議同意を行う際に、関係市町村から意見を聴取できることとする。
(6) 開発許可制度の見直し
市街化調整区域内の大規模開発を許可できる基準を廃止し、病院、福祉施設、学校、庁舎等の公共公益施設を開発許可等の対象とする。

※大規模集客施設: 床面積1万㎡超の店舗、映画館、アミューズメント施設、展示場等。

2.その他の改正
都市計画を通じた都市の秩序ある整備を図るため、以下の改正を行う。
(1)駐車場法の一部改正
自動二輪車の駐車場の整備を促進するため、駐車場法の自動車の定義(駐車場の整備対象となる。)に大型自動二輪車及び普通自動二輪車を含める。
(2)新住宅市街地開発法の一部改正
・新住宅市街地開発事業の施行区域に関する都市計画の要件に住宅需要をより厳しく審査する旨の根拠規定を追加する。
・施行者から造成宅地等を受託した信託会社等が宅地分譲できるようにする。
・施行者から譲り受けた宅地における建築物の建築義務期間を原則3年から5年に緩和する。
(3)公有地の拡大の推進に関する法律の一部改正
・先買い制度により取得された土地について、一定の要件を満たす場合には、都市の健全な発展と秩序ある整備に資する一定の事業のためにも処分することができることとする。
・市街化調整区域等の区域内に所在する土地の有償譲渡について、都道府県知事への届出を要しないこととする。
(4)その他所要の改正を行う。

今回の改正の問題点は何か?

  • 大規模集客施設という特定の建物をターゲットにしているが、本来中心市街地衰退と郊外商業の跋扈を招いているのは大規模集客施設ではなく食品スーパーや、郊外型家電量販店、郊外型書店、飲食店などといった中規模以下の集客施設であるため、これらの業態の出店は加速する。
  • 既に出店している郊外大規模ショッピングセンターにおいては、競合相手が出店できないので勝ち逃げができる。公正な競争という観点から非常に不公平である。
  • 中規模集客施設を連坦させることで、一つの大きな集約施設のような形で運営することも可能なので、実質的に骨抜けである。
  • 都心部などにおける工場移転後の遊休地の売却や転用が立ちゆかなくなり、土地の流動性が低下することによって業績の悪い企業の再生が難しくなる。

そもそもの問題はないの?

  • 中心市街地に依然として残る、営業努力もせず旧態依然とした商売の方法で生き残ろうとする商店主が中心市街地活性化の大きな障害となっている。
  • 中心市街地の土地の権利関係が複雑であるので、再構築には時間と手間がかかる。
  • 土地の市場が売上に対する反応は鈍いので、地方都市でも依然として郊外大規模SCは地価が安く、中心市街地の地価が高い(という解釈は正しいか?)
  • インフラの利用者層を大きく変えてしまうような郊外大規模SCの出店に対し、実質的に受益者負担による基盤整備の強化が行われないので、郊外大規模SCにとってはただ乗りとなる。
  • 郊外大規模SCは正社員ではなくパートやアルバイトで雇用するため、賃金は低く抑えられ雇用効果は少ないのではないか?

どうするべきか?

時計の針を戻して、中心市街地の中での競争を促すために
  • 土地利用規制を強化し、既成市街地以外での商業施設の出店はさせない。(都市計画的には適切だろう)
  • 郊外部の固定資産税評価額の引き上げと都心部の固定資産税評価額の引き下げ
  • 都心部での売上の上がらない店舗の強制買い上げ
  • TMOによる中心市街地の土地・建物の管理

時計の針を戻さずして、郊外との競争の下で中心市街地の再生を図るために

  • 改正案の撤廃
  • TMOによる中心市街地の土地-建物の買い上げ、管理により売上の上がらない店舗の退去ルールをつくる
  • やる気のない市街地には支援しない
  • 大店立地法における環境影響評価を強化する。第三者機関による評価。外部不経済の内部化、ただ乗りの阻止、受益者負担の徹底

そもそもに戻る

  • 再生しなくてもいいんじゃないか?(暫定的な均衡解と考える)
  • 今でも個々の消費者で近くの商店、スーパーと郊外の大規模SCの使い分けは行われているので、郊外の大規模SCが既成市街地を壊滅させるとは考えにくい(大都市圏では)
  • 郊外大規模SCに買いに行けない高齢者に対しては、大規模SCによる介護サービス(宅配サービス)の実施を義務づける?
  • もしくは買い物に行けないようなコミュニティについては集団移住を図る。