その数学が戦略を決める
- 作者: イアン・エアーズ,山形浩生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/11/29
- メディア: 単行本
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この本は専門家の経験よりも、膨大なデータを解析する方がよりよい戦略を立てられるようになりますよという啓蒙書でした。
僕自身は統計学の専門家ではないけれど、大学の研究や今の仕事でも統計的な分析は多用しているし、オークランド・アスレチックスのデータに基づくチーム作りにも興味がある、そして訳者の人が後書きで書いていたセブンイレブンのPOSデータの事例も、アルバイトとしてセブンイレブンにいたので、ある程度は知っているので、この本でいろいろ解き明かされていく事例には好感が持てる。
ただ、読んだあと何も残らなかった。
アメリカの大学の先生が書いた本なので、あくまでも内容はアメリカの事例にすぎないから、本の中で示されている結果が日本でそのまま当てはまるというわけでもなかろうから、ふーんと思いながら読むしかない。(ワインに興味のある人なら、序章の一番最初に出てくるワインの話は参考になるかもしれないけど)
僕はこういう本に求めているのは、実践的な統計学の使い方を知りたいということなんだろうと思う。実際にどういう式で推計をしているのか、どういうツールで計算したのか、データはどこから引っ張ってきたのか。だから、教科書と啓蒙書の間の本がいいのかなと思った。
この本には数式は一つも出てこない。だから読みやすい。しかし、何も残っていない。むしろ数式を書いてくれた方がよかった。
統計関係のテキストの大部分を処分してしまったので、もう一度買おうと思った。
とはそもそも論として、日本ではデータが整備されていない、公開されていないということも多い。
アメリカみたいにはうまく行かないだろうね。